CALENDAR
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< September 2017 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
MOBILE
qrcode
書下ろしショートストーリー『きなこのクリスマス その3』志賀内泰弘

第1626号ギブ&ギブメルマガ【クリスマス特別号】書下ろしショートストーリー『きなこのクリスマス』志賀内泰弘

-PC版-
『いつも、隣にいる、幸せをお届けするメールマガジン』

■<< 第1626号ギブ&ギブメルマガ  >>■■■■■■■■■■■■■■■
■■【クリスマス特別号】書下ろしショートストーリー『きなこのクリスマス』志賀内泰弘

◆発行◆
◇プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動 http://www.giveandgive.com/
◇いい話の広場SHOP http://giveandgive.shop-pro.jp/
◇たった一言でコンテスト http://hitokotode.com/

★★☆月刊紙の購読料は小中学校への無料配布に役立ております。
【現在の無料配布校 397校/2016年12月現在】
詳しくは → http://www.giveandgive.com/hajimete/school.html

★★★☆サポーター募集!【現在の登録数 461名/2016年12月現在】
詳しくは → http://www.giveandgive.com/hajimete/supporters_club.html

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□ 目次

[ 1 ]【22日】の「レクサス星が丘『日本一のお店を作る』今日の言葉」

[ 2 ]書下ろしショートストーリー『きなこのクリスマス その3』志賀内泰弘

◆一週間のメルマガメニュー◆
【月曜版】『ほろほろ通信』志賀内泰弘
【火曜版】『たった一言でコンテスト 受賞作品』
【水曜版】『たった一言でコンテスト 受賞作品』
【木曜版】『今週の日めくり』レクサス星が丘『日本一のお店を作る』今日の言葉
【金曜版】『ちょっといい話』志賀内泰弘


■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


▼新作日めくりカレンダー キングオブレクサスのレクサス星が丘★
「『日本一のお店を作る』今日の言葉」
http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=110108906

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 1 ]【22日】の「レクサス星が丘『日本一のお店を作る』今日の言葉」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【22日】の「レクサス星が丘『日本一のお店を作る』今日の言葉」
-------------------------

感動サービスとは?

期待通りのことではなく、 「ここまでやってくれるのか!」 と思わせて
初めて感動してもらえる。

-------------------------

▼新作日めくりカレンダー キングオブレクサスのレクサス星が丘★
「『日本一のお店を作る』今日の言葉」
http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=110108906

また、こちらもおススメ。

▼新作が入った「人気日めくりカレンダー6点【1年間分】」セット
http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=24524777
↑これで、1年間毎日違う「今日の言葉」が楽しめます♪

▼ベストセラー「No.1トヨタのおもてなし レクサス星が丘の奇跡」(PHP研究所)
http://amzn.to/2gJEGNf


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 2 ]書下ろしショートストーリー『きなこのクリスマス その3』志賀内泰弘
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

《その1は下記で読めます》
http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_1406.html

《その2は下記で読めます》
http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_1407.html


友達もいたし、クリスマスには、友達の家に呼ばれてパーティもした。
今は、友達が一人もいない。でも、中学に入っても、友達なんかいらない。
そんなことより、どうしたらいじめられずに済むかだ。ただ、それだけ。

後少し、後少し・・・我慢すれば中学生になる。 そうしたら、一からやり直すのだ。 教室に入る時、 「おい、きなこ」 と声を掛けられた。ドキッとして立ち止まった。 その声の主は智久君だった。怖くて、返事ができなかった。 「お前も、俺たちと同じ中学へ行くんだろ?」 「・・・」 「まさか、中学生になったら、俺たちから逃れられると思っているんじゃないだろうな」 ニヤリと笑うと、智久君は美雪追い越して教室に入って行った。
入口のところで、美雪は震えながら立ち尽くした。 (そんな・・・) 美雪は、すべての希望を失った。 後少し、後少し・・・と思って耐えてきたのに。これを絶望というのだろうか。
何がクリスマスだ。
クリスマスは、キリスト教の神様の誕生日を祝う日だと聞いたことがある。 何が神様だ。 神様なんてこの世にいるわけがない。 クリスマスなんて大嫌いだ。 「お〜い、きなこ! 何、ボーッとしてる。教室に入りなさい」 小野田先生に呼ばれて、美雪はハッとした。 クラスの全員が席に着いている。慌てて、自分の席へと駆けた。 小野田先生が、通知表を渡し始めた。 「J1」 「はい!」 そう呼ばれて、浅田智久君が教壇へ小走りに向かう。
小野田先生は、クラスのみんなの人気者だ。
なんでも、心の距離を近づけるために、
一人ひとりをあだ名で呼ぶことにしている。

智久君は、将来、Jリーガーになるのが夢なので、
「J1」というあだ名なのだ。 「コーターロー」 「あっちゃん」 「ハカセ」 次々に男子の名前が呼ばれる。みんな、通知表を受け取ると、こそこそと覗き込む。 「テッパン」 「家康」 「ロバート」 教室中が、ざわざわする。 女子の番になった。 「アン」 「姫」 「ピアノ」 美雪は、先生に呼ばれる度に死にたくなる。 なぜ先生はわかってくれないのだろう。 そう思いつつ、順番を待つ。 「きなこ」 「はい・・・」 美雪は、椅子を少し引いて、ふらりと立ち上がった。 (もうどうでもいい。中学になっても、みんなにいじめられるんだ。
 中学になっても、「きなこ」って呼ばれるんだ。
 死にたい、死にたい・・・死んでしまいたい) その時だった。 「先生、きなこじゃありません」 美雪は、教壇へと向かう足が止まった。
小野田先生が、声の方を向いて言う。 「どうした? マコト」 「先生、佐藤さんは、きなこじゃありません。
 佐藤さんは、佐藤さんって呼んであげてください」 何が起きたのか、誰もが理解できなかった。
クラスの全員がおしゃべりをやめて、誠に注目した。
顔が真っ赤で、少し震えているみたいだ。
小野田先生は、急なことに戸惑いながらも、
誠と美雪の顔を交互に見ながら言った。 「先生は、きなこが好きだぞ。佐藤さんも、きなこが好きなんだろう?
 もうすぐお正月だ。俺は、きなこ餅が楽しみでな。
 好物が一緒でうれしくて、愛情を込めて『きなこ』って呼んでるんだ」 誠が、バンッと机を叩いて立ち上がった。 みんなが、何事かと息をのんだ。 「違います! 先生。それは誤解なんです。
 きなこは・・・いえ、佐藤さんは、
 きなこなんて好きじゃないんです。
 ううん、きっと、きなこが大嫌いです」 「何言ってんだお前」 「何もくそもないんです。先生!お願いです。
 本当の名前で呼んでやってください。佐藤さん・・・とか美雪って」 誠から漂ってくる張りつめた空気が、教室全体に広がった。 誰もしゃべらない。誰もが緊張しているかに見えた。
そんな中、智久が誠を睨んだ。誠は、一瞬ひるんだかに見えたが、
キッとした表情で智久を睨み返すのが見えた。 美雪は、どうしていいのかわからず、教室の真ん中で立ち尽くした。 先生が、沈黙を破って口を開いた。 「ごめんな、佐藤さん。俺が早とちりしたみたいだな」 「・・・」 美雪は、先生の瞳を恐る恐る見やった。 「長い事、嫌な思いをさせたな。先生が悪かった、ゆるしてくれな」 「・・・」 「今日から、ミユキって呼んでもいいか?」 美雪は、 「はい」 と答えるのが精一杯だった。
ついさっきまで、死にたいと思っていた。
それなのに、この気持ちは何なのだろう。
心の奥底から、何だかわからないけれど、喜びが湧いてくる。
美雪が、誠の方に視線を向けると、
身体がブルブルと小刻みに震えているのがわかった。
美雪は思った。 クリスマスなんか嫌いだ。神様なんてこの世にいない。 ううん、それは間違いだった。サンタさんはいる。神様はいるんだ。 拭っても拭っても、瞳から涙が溢れてきた。 「ミユキ、ごめんな。思いっきり泣いていいよ」 気が付くと、小野田先生が大きな胸で
包み込むようにして抱きしめてくれていた。 教室の窓の外では、いつのまにか雪が降り始めていた。 でも、そのことに誰も気が付かない。 なぜなら、クラスの誰もが目を真っ赤に腫らして泣き出したからだ。 クラスのみんなの心の中に、チャペルの音がこだました。 そして、サンタさんの声が・・・。 「メリークリスマス!」 と聞こえたような気が・・・した。

《終わり》

▼『社員さん・バイトさんのサービス意識向上に』
月刊紙が毎月25冊届く「法人サポーター」募集中!
http://www.giveandgive.com/supporters/

   -   -   -

◆「ちょっといい話」を募集中!◆
皆さんからの「ちょっといい話」を募集しております!
メルマガや月刊紙で紹介させていただきます。ペンネームでもOK!
どんな小さなことでも、あっ!と思ったら投稿してくださいね。
お便りもお待ちしております。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/100a41a2115075

   -   -   -

★☆毎月いい話をお届けします!★☆
月刊紙「プチ紳士からの手紙」を発行しています!(年間購読料2,500円/12回発行)
詳しくは → http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=5948489

★★メルマガのバックナンバーが読めます。
こちらから → http://iihanashi.giveandgive.com/

《お願い》
このメルマガを読んで気に入っていただけましたら、
お友達にぜひお勧めください。このメルマガを
転送していただければ、文末に登録フォームがございます。

■<< ギブ&ギブメルマガ発行 >>■■■■■■■■■■■■■■■

プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動
info@giveandgive.com

執筆者・文責/小島章裕・志賀内泰弘

〒460‐0003
名古屋市中区錦2-6-13
長者町えびすビルPART3
有限会社ウィッテム内
TEL:052-221-5661 FAX:052-221-5660

◆プチ紳士・プチ淑女を探せ!運動 http://www.giveandgive.com/
◆いい話の広場SHOP http://giveandgive.shop-pro.jp/
◆たった一言で http://hitokotode.com/

■■■■■■■■■■■■■■■<< ギブ&ギブメルマガ発行 >>■

お友達にお勧めください♪

▼メルマガ配信登録▼ ※ケータイでも読めます
http://www.rakume.jp/usr/access.jsp?i=102281&t=3&k=1&p=1

▼メルマガ配信停止▼
http://www.rakume.jp/usr/access.jsp?i=102281&t=4&k=1&p=1

| ココロのメルマガ小説 | 09:22 | - | - | pookmark |
書下ろしショートストーリー『きなこのクリスマス その2』志賀内泰弘

《昨日からの続き:その1は下記で読めます》
http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_1406.html
 

智久は、何食わぬ顔つきで答えた。
「先生、佐藤さんは『きなこ』が好きなんです。
今日の給食のデザート、きな粉のワラビもちだったでしょ。
僕も大好きでさ。それで愛情込めて『きなこ』って呼んだだ」

先生は、笑って答えた。
「おお、そうか。俺もきなこ大好きだぞ」
智久の言葉を信じた様子だった。先生が言う。
「正月のお餅も、きなこが好きだな」
成績が良い人間の言うことを大人はどうして信じてしまうのだろう。
佐藤さんは、顔を真っ赤にしてうつむいた。

あだ名なんて、たわいもないことから付けられるものだ。
その日から、佐藤さんはクラスのみんなから
「きなこ」と呼ばれるようになった。
なにしろ、先生も公認だ。
「おい! きなこ」
と呼んでも、先生はまさか悪口だとは思わない。
ただ、心の中で「汚ねえ子」と呟かれているとは、想像もつかないだろう。

最初は、「きなこ」と呼ぶだけだったものが、
1か月、2か月と経つうちにいじめへと発展していった。
佐藤さんの筆箱が失くなったり、机の中にベタベタの雑巾が入っていたり。
給食の牛乳パックに付いているストローが、
佐藤さんのものだけ取られて無くなっていることもあった。

それはまだ序の口。
6年生になる頃には、背中から牛乳を流し込まれたこともある。
帰ろうと思って下駄箱から靴を取り出そうとしたら、
中に給食の残飯が詰め込まれていたこともあった。
全部、主犯は智久だった。でも、だれも止めようとしない。
クラスの全員が智久に従い共犯になった。そう・・・誠も。
誠だって、そんなことをしたくはなかった。

ある日のこと。
校庭の花壇で捕まえた毛虫をきなこの給食のおかずに
混ぜてやろうという話になった。誠は、
「もう付いていけない。このままじゃダメだ」
と、勇気を出して智久に言った。
「それはやり過ぎだと思うよ・・・」
もちろん、小声で。
一番に仲が良いはずの智久の顔が、突然、ひきつるのが見えた。
そして、とてつもなく低く、身震いするような太い声で言った。
「なんだ、マコト。お前も、いじめられたいのか」
誠は凍りついた。3秒間ほどの沈黙の後、ちょっとはしゃいで言った。
「うそうそ、そんなわけないじゃん」
「だよな〜マコトは仲間だもんな」
他のクラスで、良く耳にした。いじめに遭っている子をかばったら、
その子もいじめられるようになったと言う話を。
誠は、怖かった。いけないとは思っても、抵抗できない。
自分がかわいくて、二度と智久に逆らわなくなった。

でも、「こじゃぁダメだ」という思いが、誠の心を暗くさせた。
幼い頃から、いつもお父さんに言われている言葉が、
頭の中でグルグル回った。
「自分に嘘をつくな」
「うん、大丈夫だよ」
と胸を張って答えたかった。でも、今は・・・いじめに加担している。
自分に嘘をついている気がした。だから、心がモヤモヤして苦しいのだ。
それだけではない。お父さんに「うそ」までついている。
誠は、どんどん自分が嫌な奴になっていくのが怖かった。
「なんとかしなくちゃ」
誠は、どうしていいのかわからなくなっていた。
心の中で、呟いた。
(なんとかしなくちゃ、なんとかしなくちゃ)

佐藤美雪は、クリスマスが大嫌いだった。
クラスのみんなは、それぞれに友達同士でクリスマス会をするらしい。
家では、お父さん、お母さんと一緒にイブの夜、パーティをするらしい。
翌朝には、サンタさんが持って来てくれたプレゼントが、枕元に置いてあるらしい。

たいていの子は、事前にお父さんやお母さんに欲しい物を頼んでおくと、
それをサンタさんに伝えてくれて、願いがかなうらしい。
美雪のアパートにも、ちゃんとサンタさんは来てくれる。
でも、願いがかなったことは一度もない。
去年は、キティちゃんのハンカチだった。
一昨年は、やっぱりキャラクターのボールペンだった。
その前は・・・。
貧しい家の子には、サンタさんも、それなりの物しか持って来ないらしい。
3年生の時、
「お母さん、友達はみんな、ゲーム機とかもらっているのに、
なんでサンタさんは私の頼みを聞いてくれないの? 私が、悪い子だから?」
そう言うと、お母さんはとても悲しそうな顔をした。

4年生になった時、サンタさんは空想の世界の人で、
実際にはお父さんがサンタクロースなのだということを知った。
仲良しのエッチャンに教えられた時にはびっくりしたが、すぐに納得できた。
うちが貧乏だということを知っていたから・・・。

美雪は、小学校の卒業式を指折り数えていた。
でも、まだ、指の数には程遠い。年が明けて、三学期が終わるまで3か月ある。
美雪が、「早く卒業したい」と願い初めて、もう一年半以上にもなる。
早く、このクラスから逃れたい。
どうして、こんなことになってしまったのだろう。
自分でもよくわからない。

5年生になってすぐの給食の時間に牛乳を飲んでいて、むせ返ってしまった。
その日から、美雪はクラスのみんなから「きなこ」と呼ばれるようになった。
「汚ねえ子」という意味らしい。さらに、毎日のように、いじめに遭った。
給食のおかずに、消しゴムの粉やゴミが入っていることは当たり前になった。
靴を隠されて、家に裸足で帰ったこともある。それも、土砂降りの雨の日に。

それでも頑張った。先生にも、お母さんにも言わなかった。
「チクッた」と、さらにいじめがひどくなるのが怖かった。
いや、何より、お母さんを悲しませたくなかったのだ。
お母さんは、美雪が幼稚園の時に、お父さんと離婚した。
お酒を飲むとお母さんを何度もけったり殴ったりした。
美雪も、髪の毛を引っ張られて叩かれたことがある。

お母さんに連れられて、何度も知らない町に引っ越した。
お母さんは、いくつもの仕事を掛け持ちして働いた。
でも、美雪が家に帰る時間には、必ず家にいてくれた。
そして、一緒におやつを食べる。
「今日も遅くなるけど、ごめんね」
と言い、夕ご飯の支度をして、お弁当工場へと出掛ける。

忙しい時には、帰りが夜中の3時になることもある。
その代わり、朝は起きれないので、美雪は自分でパンを焼いて食べて学校へ行く。
一生懸命に育ててくれているのが、子どもながらにもわかった。
寂しい思いをさせまいとして、いつも笑顔でいてくれる。
そんな母親に、悲しい思いをさせたくない。

だから・・・黙っていた。いじめに遭っているなんて聞いたら、
どんなに悲しませることか。小野田先生にも言えやしない。
そんなことをしたら、お母さんに伝わるからだ。
美雪は、ただただ耐えた。

後少し、後少し・・・。
クリスマスが終わって、お正月が来て、三学期が終われば卒業式だ。
中学になったら、今度はいじめられないように努力しよう。
とにかく大人しくしていよう。目立たないようにしよう。

間違っても、牛乳を拭き出したりはしない。
人に迷惑をかけないようにして、ひっそりと学校へ行く。やり直すのだ。
だって、4年生まではなんでもなかった。
友達もいたし、クリスマスには、友達の家に呼ばれてパーティもした。
今は、友達が一人もいない。でも、中学に入っても、友達なんかいらない。
そんなことより、どうしたらいじめられずに済むかだ。ただ、それだけ。

《続きは明日》

| ココロのメルマガ小説 | 09:24 | - | - | pookmark |
第1624号ギブ&ギブメルマガ【クリスマス特別号】書下ろしショートストーリー『きなこのクリスマス』志賀内泰弘

『きなこのクリスマス その1』志賀内泰弘

誠(まこと)は、小学6年生。
お父さんは、トラックのドライバーをしている。
長距離が専門で、家を留守にすることが多い。
土日も関係なく仕事をしているのであまり遊んでもらえないが、
誠はお父さんが大好きだった。

一番の理由は「勉強しろ」と言わないこと。
その代わり、弱音や愚痴を言うとものすごく叱られた。
口癖は、「自分に嘘をつくな」ということだった。

以前、夕飯の時に一度訊いたことがある。
「それって、どういう意味?」
と。すると、お父さんは飲みかけていたビールのコップを
テーブルに置いて、急に真顔になって教えてくれた。

「自分に嘘をついた時は、なんだか心の中がモヤモヤするんだ。
誠にこう言っているお父さんもな、実はそういう気分になることがある。
自分に嘘をつくと、その時はいいけど、だんだん苦しくなる。
いいか、誠。自分に嘘をつくような人間にだけは、なっちゃいかんぞ」

そう言うと、再び、グイッとビールを飲み干した。
3、4年生の頃までは、それがどんな意味なのかわからなかったが、
最近になって、なんとなくわかるようになってきた。

誠は、長いこと、悩んでいた。いや、悩むというのは正しくない。
後ろめたさが募り、そのことを考えると、
胸が何かで突き刺されるように苦しいのだ。
どうしていいのか、わからない。

今日は、12月24日。
クリスマス・イブで、二学期の終業式だ。
年が明けて4月になれば地元の中学に進学することになっている。
3つの小学校の学区から、一つの中学校の学区ができている。

中学に入ると、当然、仲良しのグループもバラバラになる可能性が高い。
誠は、新しいクラスに馴染めるかどうかが、今から不安でならなかった。
(いじめられないように気を付けなくちゃ)
誠が通う小学校では、2年生から3年生に、4年生から5年生になる時にクラス替えがある。
その度に、仲の良い友達と別れ別れになるという寂しさとともに、
「新しい友達ができるだろうか」という不安でいっぱいになった。

でも、今までは大丈夫だった。5年生になった時、席順で前の席になった智久と、
すぐに打ち解けた。応援するJ1のチームが同じで盛り上がったのだ。
その智久の、一年生の時からの友達ともすぐに仲良くなった。
それだけではなく、朝礼前には他のいくつかの仲良しグループとも
一緒にサッカーをしている。

智久は、いい奴だ。忘れ物をすれば、貸してくれるし、
クラスで一番勉強ができるので宿題だって手伝ってくれる。
でも、一つだけ、戸惑うことがあった。
同じクラスの佐藤美雪さんをいじめるのだ。
佐藤さんとは、1、2年生の時に同じクラスだった。
家も近いので、毎朝、分団を組んでの登校が一緒だった。
自然と、母親同士も仲良くなり、風邪をひいた時には、
学校の連絡ノートなどを家まで持って行ったりしていた。

ところが、佐藤さんにとっての悲劇は、5年生になって
一週間も経たないある日の給食の時間に訪れた。
佐藤さんが牛乳を飲んでいる時、誰かが大声でブレイク中の芸人のギャグをした。
それにつられて、みんなが大笑い。佐藤さんも笑った。

だが、牛乳が息の方に入ってしまったらしく、ゴボゴボッとむせかえった。
それが、前の席の優樹菜の髪にかかった。
「キャアー!」
みんなが振り返る。佐藤さんの机の上にも、牛乳が飛び散っている。
佐藤さんは、ハンカチを取り出して拭いてあげようとした。
「なにするのよ! 汚いわねえ〜」
佐藤さんが申し訳なさそうにうつむいた。その時、誰かが言った。
「汚ねえなあ〜」
智久が、おどけて言った。
「汚ねえ、きな粉!」

その日の給食には、きな粉にまぶしたワラビもちのデザートが付いていた。
きな粉に牛乳がかかり、ドロドロになっていた。
そのプレートを指さし、智久がまた言った。
「汚ねえ、きな粉!」
シャレのギャグのつもりだ。何度も、大声で繰り返した。
「汚ねえ、きな粉! 汚ねえ、きな粉! 汚ねえ、きな粉!」

その日の午後の理科の実験の時間。
備品係りで保管室からビーカーを運んできた佐藤さんに向かって、智久が、
「きなこ!ビーカー割るなよ」
と言った。それを何気なく耳にした担任の小野田先生が、
「なんだ? きなこって」
と、智久を咎めるような口調で言った。
智久は、何食わぬ顔つきで答えた。
「先生、佐藤さんは『きなこ』が好きなんです。
今日の給食のデザート、きな粉のワラビもちだったでしょ。
僕も大好きでさ。それで愛情込めて『きなこ』って呼んだだ」

《続きは明日》

▼『社員さん・バイトさんのサービス意識向上に』
月刊紙が毎月25冊届く「法人サポーター」募集中!
http://www.giveandgive.com/supporters/

| ココロのメルマガ小説 | 09:43 | - | - | pookmark |
ココロのメルマガ小説『ずっとずっと決めていたこと 後編』志賀内泰弘
★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪
http://hitokotode.com/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 1 ]ココロのメルマガ小説『ずっとずっと決めていたこと 後編』志賀内泰弘
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

高橋のお婆ちゃんに、そんな心を読まれてしまったようだ。

「・・・で、でも」
「あんた、なんで介護用のおむつばっかり、たくさん買い込むんだろうかって、
不思議に思っているんだろう」
「え?・・・は、はい」
「あまり人には言わんでな」
「・・・」

彩也香は、真顔のお婆ちゃんを見つめた。
とても認知症の人には思えなかった。

「お爺さんはな、寝たきりになってしもうたがな、
ちゃんと毎日、わたしと話をしてくれとる。
めったには出掛けなかったけど、
宮崎とか北海道とかに旅行に行ったことは何度も話すんだ。
楽しかったな〜、美味しかったな〜、てな。
そんな同じ話ばかりしてもうすぐ7年が経つんよ。長いようで短いなあ。
お爺さんにはな、これからもずっとずっと長生きしてもらいたいんよ。
私よりも先に死なれたら、辛くてたまらん」

彩也香は、とつとつと話すお婆ちゃんの瞳を見つめていた。

「おむつがなぁ。1ヶ月分しか家にないとな、不安になるんよ。
あと1ヶ月しか生きていられんような気がしてな。
2ヶ月分しかないと、あと2ヶ月で死んでしまうような。
それでなぁ。3ヶ月月分、4ヶ月分とな、だんだんと増えていってしまって、
とうとうお座敷いっぱいになってしまったという訳なんよ。
たぶん、1年分くらいはあるんじゃないかな。
でも、まだ不安なんよ、わたし。
お爺さんには、1年ばかりじゃなくて、何年も何年も生きていて欲しい。
下の世話もわがままも何でも聞いてやるから」

彩也香は言葉を失い、ただそこに立ち尽くした。
気が付くと、頬に一筋の涙が伝っていた。

それから、半年ほどが経ったある日のことだった。
高橋のお婆ちゃんの旦那さんは、風邪がもとで気管支炎を患い、
あっという間に亡くなってしまった。

そしてそれから2週間後、お婆ちゃんが店にやってきた。

「ユタカさん、ありがとうね。おかげで、お爺さんも天国に安心して行けましたよ」

思うよりも元気そうでホッとした。

「そろそろ、片づけもしなくちゃならんのだけど、なかなか手が付かんくてね」
「しばらく、ゆっくりして下さいよ、お婆ちゃん」
「うん。でもな、野菜はどんどん芽を出すしな、畑仕事は休めん」
「そうですね」
「ところでな・・・ちょっとな、あんたに相談があるんよ」

「相談」と言われて、彩也香は少し嬉しくなった。
何にも役に立てずにいる自分に苛立っていたからだ。

「あのなぁ、あのお座敷のおむつなんだけど、一緒に手伝って処分してもらえんかなぁ。
いつか、わたしが必要な時が来るかもしれんけど、あれを見ると、
お爺さんのことを思い出して辛くてなあ」
「もちろんです。もしよかったら、返品に応じさせていただきます」
「え? 返品??」
「はい。たしか、レシートをきちんと保管していらっしゃいましたよね、お婆ちゃん」
「あ、うん・・・お爺さんの癖で、菓子箱に全部入れてあるよ」
「1年前のものは返品できないっていう決まりはありませんから」
「え? 本当にいいんかい・・・会社から叱られん?」

それは彩也香が、ずっとずっと前から決めていたことだった。
残念ではあるけれど、きっとこの日が来ることを考えていた。

「お爺ちゃんが亡くなられて、年金だけじゃますます生活がたいへんでしょ。
返金分で、お孫さんに何か買って差し上げてください」

高橋のお婆ちゃんはうつむいて動かなくなってしまった。
足元の床に、ポツリポツリと、涙が落ちた。
彩也香は、それを見て見ぬフリをして大声で言った。

「今日は、カボチャの料理でも作ろうかな。
美味しい煮物の作り方、教えてもらえますか?」

《終わり》


※この物語は、岐阜県大垣市に本社を置く(株)ユタカファーマシーが
展開するドラッグユタカで実際にあったエピソードを元に小説化したものです。

★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪
http://hitokotode.com/


★新作発売!★人気日めくりカレンダーシリーズ 販売総数1万6千部以上
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 2 ]【31日】の『笑顔になれる今日の言葉(志賀内泰弘)』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【31日】の『笑顔になれる今日の言葉(志賀内泰弘)』
-------------------------

楽しいから笑うのではない。
笑うから楽しいのだ。

だから、
辛くても、
笑ってみよう!

-------------------------

▼日めくりカレンダー【笑顔になれる今日の言葉(木下晴弘&志賀内泰弘)】
http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=51802270

また、こちらもおススメ。

▼人気日めくりカレンダー6点【1年間分】セット
http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=24524777
↑これで、1年間毎日違う「今日の言葉」が楽しめます♪


   -   -   -


◆「ちょっといい話」を募集中!◆
皆さんからの「ちょっといい話」を募集しております!
メルマガや月刊紙で紹介させていただきます。ペンネームでもOK!
どんな小さなことでも、あっ!と思ったら投稿してくださいね。
お便りもお待ちしております。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/100a41a2115075


   -   -   -


★☆月刊紙を発行しています!(年間購読料2,500円/12回発行)
詳しくは → http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=5948489
| ココロのメルマガ小説 | 08:20 | - | - | pookmark |
ココロのメルマガ小説『ずっとずっと決めていたこと 前編』志賀内泰弘
★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪
http://hitokotode.com/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 1 ]ココロのメルマガ小説『ずっとずっと決めていたこと 前編』志賀内泰弘
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

安藤彩也香は・・・泣いていた。
来店されるなり、高橋のお婆ちゃんが頭を下げた。

「ユタカさん、ありがとうね。おかげで、
お爺さんも天国に安心して行けましたよ」

高橋のお婆ちゃんの旦那さんが亡くなってから、もう2週間が経つ。
通夜にも告別式にも参列させてもらった。

彩也香にとって、思い出深い夫婦だった。


ドラッグユタカの滋賀県の店舗に着任早々、
高橋のお婆ちゃんと仲よくなった。

畑で採れた野菜だと言って、買い物に来るたび持って来てくれた。
アルバイトの子たちも含め、みんなで分けていただいた。

毎月、一度、高橋のお婆ちゃんは大量の買い物に訪れた。
消毒液、脱脂綿、ビニール袋、介護用のおむつ・・・。
そう、お婆ちゃんは自宅で、脳梗塞で倒れた旦那さんの介護をしているのだ。
もう7年になると、前任の店長から聞いていた。

息子さん二人は、家を出て遠くで働いているらしい。
長男さんからは「一緒に暮らそう、東京へ来ないか」と言われているが、
頑なに拒んでいると耳にした。
お爺さんが、自分の生まれ育った家で死にたいと言っているのだという。

老々介護。辛くないはずがない。
でも、高橋のお婆ちゃんは、けっして暗くない。
お店にやってくるなり、いつもケタケタと笑う。

「こんな形のキュウリができてな。
みんなに見せようと思って持ってきたんよ。チンポコみたいじゃろ」

学生アルバイトのユージの「アソコ」に、
そのキュウリを押し付けては、たまケタケタと笑う。

ところが、そんな元気のかたまりのお婆ちゃんが畑仕事をしていて、
腰をやられてしまった。

「車の運転ができないので、持って来てくれないか」

と電話があり、彩也香は心配になって飛んで行った。
部屋には、民生委員さんと、ヘルパーさんが来てくれていた。

「お婆ちゃん、老人ホームに入った方がよくない?」
「大丈夫、すぐに治る」

と言い、腰をさすった。
彩也香は、ちょっとだけホッとした。顔色は悪くない。
「痛てて」と言いながらも、壁を伝って部屋の中を歩くこともできる。

「おむつとか、どこへ運びましょうか」
「隣の部屋へ頼むわ」

と、遠くから指を差された。ふすまの扉を開ける。

「え!」

彩也香は、目の前に迫るようにそびえ立つ山に驚いた。
そこは、仏壇のある座敷だった。

ずっと使われていないらしく、納戸のようになっていた。
その広い畳の部屋いっぱいに積み上げられていたのは、
ティッシュペーパーと介護用おむつだった。

いったい、どれくらいあるのか見当もつかない。
ドラックユタカの店頭の在庫よりも多いことは間違いない。
6か月分、いや1年分ちかくもありそうだ。

「そこへ積み上げておいとくれ〜」

遠巻きにお婆ちゃんの声が聞こえた。

(これはどういうことなの?)

彩也香は、ひょっとして・・・と訝しんだ。
お店に来るときは、かなりしっかりしっかり者に見えた。

でも、実は、相当に認知症が進んでいるのではないか。
目の前に、こんなにもストックがあるのだ。
忘れて買い置きしているわけではなさそうだ。

昔、親戚のおばさんに聞いたことがある。
認知症の症状の一つとして、買い物依存症が出るというのだ。

叔父さんもそうだった。いつも吸っているマイルドセブンライト。
机の上にも、ポケットにも入っているのに、
自動販売機を見ると買ってしまうのだった。
たくさん手元に置いておかないと、不安になるらしい。
そのため、いつも100箱以上の買い置きがあった。

(息子さんに連絡をして、一度病院に連れて行ってもらった方がいいかも)

彩也香は、介護用のおむつの山を見ながら、溜息をついた。

それから5日後のことだった。
高橋のお婆ちゃんが、元気な姿を見せた。

「もう大丈夫」

と、大きなカボチャを3つも抱えてレジに置いた。

「みんなで食べてな」
「ありがとうございます」
「それから・・・またこれだけ用意してくれんかな。
車の運転もできるようになったから、自分で持って帰るから」
「はい、私が用意します」

と答え、彩也香がメモ用紙を受け取った。

(え!?)

そこには、ついこの前、配達したばかりの商品が羅列してあった。
あの、座敷に山となっていた介護用のおむつも。やっぱり認知症・・・。

「いんだよ、その通りで」

高橋のお婆ちゃんに、そんな心を読まれてしまったようだ。

「・・・で、でも」
「あんた、なんで介護用のおむつばっかり、
たくさん買い込むんだろうかって、不思議に思っているんだろう」
「え?・・・は、はい」
「あまり人には言わんでな」

《後編は来週の木曜日号で》

※この物語は、岐阜県大垣市に本社を置く(株)ユタカファーマシーが
展開するドラッグユタカで実際にあったエピソードを元に小説化したものです。

★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪
http://hitokotode.com/


★新作発売!★人気日めくりカレンダーシリーズ 販売総数1万6千部以上
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 2 ]【24日】の『笑顔になれる今日の言葉(木下晴弘)』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【24日】の『笑顔になれる今日の言葉(木下晴弘)』
-------------------------

人生において、
不幸な時期に向き合えた人は
やがて来る幸せな時期を
満喫することができる。

-------------------------

▼日めくりカレンダー【笑顔になれる今日の言葉(木下晴弘&志賀内泰弘)】
http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=51802270

また、こちらもおススメ。

▼人気日めくりカレンダー6点【1年間分】セット
http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=24524777
↑これで、1年間毎日違う「今日の言葉」が楽しめます♪


   -   -   -


◆「ちょっといい話」を募集中!◆
皆さんからの「ちょっといい話」を募集しております!
メルマガや月刊紙で紹介させていただきます。ペンネームでもOK!
どんな小さなことでも、あっ!と思ったら投稿してくださいね。
お便りもお待ちしております。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/100a41a2115075


   -   -   -


★☆月刊紙を発行しています!(年間購読料2,500円/12回発行)
詳しくは → http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=5948489
| ココロのメルマガ小説 | 08:55 | - | - | pookmark |
ココロのメルマガ小説『猫を探しています。 後編』志賀内泰弘
★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪
http://hitokotode.com/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 1 ]ココロのメルマガ小説『猫を探しています。 後編』志賀内泰弘
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

《前編はこちら》 http://www.giveandgive.com/iihanashi_top/kokoro_mailmag/vol_0814.html

姿を見せなくなり1週間が経った。子供たちはミーちゃん、ミーちゃんと心配していた。
ひょっとして、交通事故に遭ったのではないか。
そんなことを子供たちの前で口にできるわけもない。

「あのう・・・もしよかったら・・・」

杏子は、ずっと考えていたことを園長婦人に提案した。

「うちの店にインフォメーションボードがあるんです。
お店のイベントとか安売りのチラシとかを貼ってあるんですけど。
それとは別にですね。
もう一つインフォメ−ションボードを作りますから、
迷い猫の案内を出されてはいかがでしょうか」
「あら、それはいいわ。ありがとうございます」

それは二つ返事で決まった。
杏子は、一番お客様の目に留まりやすい自販機の隣の壁に、
新しいボードを設置。そこへ、園長婦人と子供たちの手作りの案内を張り付けた。

「迷い猫を探しています」

そこには、幼稚園の女の子と猫の頬を
寄せたツーショットの写真が貼られていた。

杏子は思った。ダメモトでいい。そう簡単に見つかるはずもない。
でも、何かお役に立ちたい。形だけでもいいから、地域の人に頼られる店作りをしたい。
これは、そのきっかけなのだと。

ところが、ところが、である。
駅前の酒屋さんの奥さんから、またまた頼まれごとを受けた。

今度は、子猫のもらい手を探して欲しいというのだ。何だか妙なことになってきた。
設置早々のインフォメ−ションボードは、猫の話題ばかり。
それを見たお客様に「猫専用」だと勘違いされてしまうのではないか。
そう思いつつ、その依頼も引き受けた。

翌日、酒屋さんの奥さんが、パソコンで手作りしたポスターを持ってお店にやってきた。
5匹の生まれたての子猫の写真がキレイに写っている。

「お上手ですね。レイアウトも上手いし、
『カワイイ子猫を飼いませんか?』の文字もステキ!」
「あら、ありがとう」
「これならきっと、すぐに引き取り手が見つかりますよ」

そう言い、奥さんをインフォメ−ションボードに案内し、
見やすいように張り付けた。

「え!?」

その時だった。奥さんが、ボードに釘付けになった。
幼稚園の「迷い猫を探しています」のポスターを指差し、

「コレ、どういうことですか」
「え? どういうことって・・・」
「この猫、うちのレモンちゃんですもの」
「えええ!」
「間違いありません。黄色い首輪に鈴。
それより何より、右耳だけこんなふうに茶色なんて珍しいでしょ」

杏子は、ケータイを手にして、夢中で幼稚園のアドレスを探した。
すぐそばで、酒屋の奥さんが、いったい何事なのかという顔をして杏子を見つめていた。

5匹の子猫のもらい手はすぐに見つかった。
すべての話が決まるまでわずか3日。

杏子は、自分の発案ながら、インフォメーシヨンボードの威力に驚いていた。
5匹のうち、右耳が茶色の子猫2匹は、幼稚園で飼われることになった。

名前は、オレンジとアップル。
ミーちゃんの本当名前がレモンちゃんだと知った子供たちが付けたのだった。

まだ、小さいので、幼稚園の建物から外へは出さないようにしている。
プレイルームには、子猫たちのためのトイレも作った。

「あ! ミーちゃんが来た!」
「ちがうよ、レモンだよ」
「レモン、レモン」

3時になると、再び、ミーちゃん・・・
いやレモンは幼稚園に現れるようになった。

杏子は、思った。

ドラッグユタカを、お母さんの美容院のようにみんなが集まるお店にしようと。

《終わり》

※この物語は、岐阜県大垣市に本社を置く(株)ユタカファーマシーが
展開するドラッグユタカで実際にあったエピソードを元に小説化したものです。


★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪
http://hitokotode.com/


★新作発売!★人気日めくりカレンダーシリーズ 販売総数1万6千部以上
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 2 ]【17日】の『笑顔になれる今日の言葉(志賀内泰弘)』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【17日】の『笑顔になれる今日の言葉(志賀内泰弘)』
-------------------------

強がるのもいいけれど、
たまには、
弱音を吐いても
いいよ。

大丈夫、みんな、あなたの味方です。

-------------------------

▼日めくりカレンダー【笑顔になれる今日の言葉(木下晴弘&志賀内泰弘)】
http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=51802270

また、こちらもおススメ。

▼人気日めくりカレンダー6点【1年間分】セット
http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=24524777
↑これで、1年間毎日違う「今日の言葉」が楽しめます♪


   -   -   -


◆「ちょっといい話」を募集中!◆
皆さんからの「ちょっといい話」を募集しております!
メルマガや月刊紙で紹介させていただきます。ペンネームでもOK!
どんな小さなことでも、あっ!と思ったら投稿してくださいね。
お便りもお待ちしております。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/100a41a2115075


   -   -   -


★☆月刊紙を発行しています!(年間購読料2,500円/12回発行)
詳しくは → http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=5948489
| ココロのメルマガ小説 | 08:08 | - | - | pookmark |
ココロのメルマガ小説『猫を探しています。 前編』志賀内泰弘
★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪
http://hitokotode.com/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 1 ]ココロのメルマガ小説『猫を探しています。 前編』志賀内泰弘
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

沼田杏子は、3年前、ドラッグユタカに就職した。
地元の岐阜に本社のあるドラッグストアのチェーン店だ。

何店舗かのお店で勤めた後、京都の店舗の店長を命じられた。
杏子の岐阜の実家は、母親が美容院を経営していた。

商店街の小さな小さなお店だったが、それなりに繁盛していた。
母親は、店を継いでくれるものと思っていたらしい。

杏子も、なんとなく専門学校へ行って、美容師になるのだと考えていた。
だが、高校生になって、実家の美容院がだんだん疎ましく思えるようになった。

いつも、近所の誰かが店に来ていた。
カットしてもらうお客様というわけではない。

ちょっとお茶を飲みに来て、世間話をして行くのだ。
話題のほとんどが、噂話だった。

どこそこの息子さんは、受験失敗してうつ病になった、とか。
誰々の旦那さんが、水商売風の女性とラブホテルに入って行くのを見た、とか。
いわゆる、女性週刊誌のネタみたいな話だ。

下手にお店に顔を出そうものなら、
「あー、杏子ちゃん、キレイになったわねー、ねえねえカレシいるの?」
などと聞いてくる。いつしか、
「私は、絶対、あんな人たちと関わりたくない」
と思うようになっていた。

しかし、ドラッグユタカで働くようになり、
杏子はその考えを少しずつ改めるようになっていた。

地域の人たちに愛される店作り。
それが第一の目標。そのためには、噂話も貴重な情報なのだ。

どこそこのお婆ちゃんは、目が不自由であまり外出しない。
公団に引っ越して来たばかりの家族には幼稚園のお子さんがいて、アトピーで悩んでいる。

そんな情報を得ることも仕事と大きく繋がっていた。
ゴシップ好きというわけではない。

そのお婆ちゃんがたま〜に来店されると、薬や湿布薬の効能を一つずつ読んで差し上げる。
アトピーのお子さんのお母さんには、評判の良い皮膚科を教えてあげたりする。

今になって、母親の美容院のことを思い返していた。
魚屋さんの奥さんが病気で入院してしまった時、
みんなで「晩ごはんは魚にしようね」とPRした。
美容院は、地域の情報ステーションだったことに気づいたのだ。

杏子は、京都の店舗に着任して、いきなり壁にぶち当たった。

近くに、安売りで有名な競合店があるのだ。
どうしたら、あんな安い価格で売れるのか、不思議でならない。
お客様からもよく言われた。「あそこでは、コレ98円だよ」と。
そう言われると返す言葉もない。

頑張れば頑張るほど、自分の無力さを痛感した。

ある日。
いつも飲料水やらトイレットペーパーなどを
配達している幼稚園に出掛けたときのことだった。
何やら子供たちが騒いでいる。

「ミーちゃんどうしたの?」
「ミーちゃんは」

何人もの子が、園庭を望む縁側のところで、
ミーちゃん、ミーちゃんと言っているのが聞こえた。

「どうしたんですか」

と園長先生の奥さんに尋ねた。

「ああ、そうなのよ。3時のおやつの時間になるとね、
いつも猫がテラスのところにやってくるの。
茶色のシマシマ模様でかわいいのよ。右耳だけが茶色なの」

誰というわけではなく、3時頃になるとやってくる猫をミーちゃんと呼ぶようになった。
黄色い首輪に鈴を付けている。

どこかの飼い猫なのか、それとも捨て猫なのかわからない。
しかし、幼稚園の人気者なのだそうだ。

ミルクを飲んだ後も、子供たちがミーちゃんの絵を描いていると、
じっと座っている。抱きかかえても嫌がらない。
一緒に滑り台に連れて行って、上から滑り落ちたりもする。

ところが・・・。姿を見せなくなり1週間が経った。
子供たちはミーちゃん、ミーちゃんと心配していた。
ひょっとして、交通事故に遭ったのではないか。
そんなことを子供たちの前で口にできるわけもない。

「あのう・・・もしよかったら・・・」

《続きは、来週木曜日号で》

※この物語は、岐阜県大垣市に本社を置く(株)ユタカファーマシーが
展開するドラッグユタカで実際にあったエピソードを元に小説化したものです。


★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪
http://hitokotode.com/


★新作発売!★人気日めくりカレンダーシリーズ 販売総数1万6千部以上
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 2 ]【10日】の『笑顔になれる今日の言葉(志賀内泰弘)』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【10日】の『笑顔になれる今日の言葉(志賀内泰弘)』
-------------------------

【失敗してネガティブになったときの特効薬!】

(1)終わったことさ、忘れた忘れた
(2)これから、これから!
(3)まあ、いいか!
(4)次、頑張ればいいさ
(5)落ちたら、あとは上がるだけ

-------------------------

▼日めくりカレンダー【笑顔になれる今日の言葉(木下晴弘&志賀内泰弘)】
http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=51802270

また、こちらもおススメ。

▼人気日めくりカレンダー6点【1年間分】セット
http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=24524777
↑これで、1年間毎日違う「今日の言葉」が楽しめます♪


   -   -   -


◆「ちょっといい話」を募集中!◆
皆さんからの「ちょっといい話」を募集しております!
メルマガや月刊紙で紹介させていただきます。ペンネームでもOK!
どんな小さなことでも、あっ!と思ったら投稿してくださいね。
お便りもお待ちしております。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/100a41a2115075


   -   -   -


★☆月刊紙を発行しています!(年間購読料2,500円/12回発行)
詳しくは → http://giveandgive.shop-pro.jp/?pid=5948489
| ココロのメルマガ小説 | 09:40 | - | - | pookmark |
ココロのメルマガ小説『お婆ちゃんの金魚 後編』志賀内泰弘
 ★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪ 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 1 ]ココロのメルマガ小説『お婆ちゃんの金魚 後編』志賀内泰弘
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「片づけが終わったら、飲みに行こうか」
「え?」
「そこで教えてやるよ・・・山岸のお婆ちゃんのこと」

リョウは意味深な店長の言葉に首を傾げながら、駐車場の掃除を始めた。

山岸ミネは、今年の秋が来ると78歳になる。
この町で生まれ、この町に嫁ぎ、この町からほとんど出たことがない。

今は一人暮らしだが、以前は夫と、息子の3人家族だった。
息子は、稀に見る秀才だった。野球部でもレギュラーで、甲子園を目指した。
夫婦には自慢の息子だった。

東京の大学に入って2年目の夏。
お盆の帰省のため、関西に住む友達2人と一緒に、車で出発した。

高速道路を愛知県に入った頃のことだった。
突然、前を走っていたトラックがカードレールに激突した。居眠り運転だった。
そこへ、息子の乗った車も突っ込んだ。3人とも即死だった。

もう、30年以上も前の話だ。
それ以来、夫と二人きりの生活だった。

息子の話は、あえて口にしないことにした。ミネも夫も。
どちらかが言い出したことではない。
口にすると悲しいだけだとわかっていたからだ。

初盆のとき、息子が幼い頃に好きだったカリントウを買って来た。
仏壇に供えようとすると、そこにはもう一袋のカリントウがあった。

夫も買って来ていたのだ。そんな暮らしが1年、また1年と過ぎ、
いつのまにかお爺さんとお婆さんになってしまった。

そして、一昨年の夏、夫は先に逝ってしまった。

心筋梗塞であっという間に。それまでは健康が取り柄だったので、
苦しんだ期間が短かったということでは、良い最期だったのかもしれない。

「そうそう、ユタカさんのチラシが入ってたけど、金魚すくいは今日だったわね」

誰に言うわけでもなく呟いた。
縁側には、小さな水槽があった。

3匹の金魚は、去年の夏、近所のドラッグユタカでもらったものだった。
麦茶を買いに行くと、何やら入口の前で子供たちがワイワイと騒いでいた。
覗き込むと、金魚すくいをしていた。

懐かしかった。まだ賢一が小学生の頃のことだ。
神社の夏祭りへ家族で出掛け、3人で金魚すくいをしたことを思い出した。
思わず、前の方へと割り込み、

「わたしもやらせてもらっていいかね」

と口にしていた。
店員は、ちょっと戸惑った様子だったが、

「いいよ、お婆ちゃん」

と言い、ポイを1つ差し出してくれた。

「いくら・・・」

と尋ねると、

「ううん、お婆ちゃん、コレ無料のイベントなんだよ」

と。なんだか嬉しくなり夢中で金魚を追った。でも、1匹もすくえなかった。
ポイが無残にも敗れてしまったのを見て、店員はビニール袋に3匹の金魚を入れてくれ、

「ハイ!お婆ちゃん、お土産だよ」

と渡してくれた。家に帰ると、小屋から昔使っていた水槽を捜しだし、
そこに水を張った。そして、3匹の金魚を放った。

何日か経つうち、知らぬ間に金魚に名前を付けて呼んでいた。
1匹は夫の賢太郎。1匹はミネ。そして、もう1匹は賢一。
それは亡くした息子の名前だった。

「おお、賢太郎さん・・・今日も元気だね。
 ミネさんともっと近づいてよ、寂しいじゃないの。
 賢一はよく食べるねえ・・・などと」

それが、いつしか毎朝の日課になっていた。

しかし・・・。
桜の咲き始めた頃、ミネは風邪をひいた。
3日ほど寝込んでしまったせいで、金魚の世話を怠った。

ずいぶん水が汚れていたので、替えてやらなくては、
と思っていたが身体が動かなかった。

「ごめんね、わたしが悪いのよ」

床上げをした朝、水槽を見て言葉を失った。
賢太郎と呼んでいた、真っ赤な金魚がプカプカと浮かんでいた。
ミネは、賢太郎をそっと庭の片隅に、そっと埋めてやった。
 
「賢一、今からユタカさんに行って、お父さんの金魚をすくってくるからね」

水槽の中で、賢一と呼ばれた黒い金魚が泡を一つ、プクッと噴き出した。
ミネには、何か言いたげな表情に見えた。

その横で、出目金のミネが楽しげに泳いでいる。
ミネはちゃぶ台から、ヨイショと言って立ち上がった。

《終わり》

※この物語は、岐阜県大垣市に本社を置く(株)ユタカファーマシーが
展開するドラッグユタカで実際にあったエピソードを元に小説化したものです。


★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪ 


★新作発売!★人気日めくりカレンダーシリーズ 販売総数1万6千部以上
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 2 ]【3日】の『笑顔になれる今日の言葉(木下晴弘)』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【3日】の『笑顔になれる今日の言葉(木下晴弘)』
-------------------------

笑顔に
不幸は
寄りつかない。

-------------------------

▼日めくりカレンダー【笑顔になれる今日の言葉(木下晴弘&志賀内泰弘)】

また、こちらもおススメ。

▼人気日めくりカレンダー6点【1年間分】セット
↑これで、1年間毎日違う「今日の言葉」が楽しめます♪


   -   -   -


◆「ちょっといい話」を募集中!◆
皆さんからの「ちょっといい話」を募集しております!
メルマガや月刊紙で紹介させていただきます。ペンネームでもOK!
どんな小さなことでも、あっ!と思ったら投稿してくださいね。
お便りもお待ちしております。


   -   -   -


★☆月刊紙を発行しています!(年間購読料2,500円/12回発行)
| ココロのメルマガ小説 | 08:31 | - | - | pookmark |
ココロのメルマガ小説『お婆ちゃんの金魚 前編』志賀内泰弘
 ★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪ 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 1 ]ココロのメルマガ小説『お婆ちゃんの金魚 前編』志賀内泰弘
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

ドラッグユタカでは、毎年、夏休みに入ると子供向けのイベントを
いろいろと企画している。

その一番の人気は、金魚すくいだ。朝から、子どもたちが順番を競ってやってくる。
昔は、縁日の定番だった。

「5匹すくった!」
「わたしは7匹」

とみんなで自慢し合う。
でも最近は、金魚すくいをするのは初めて、という子供も多い。
ほとんどの子が、すぐに紙が破けてしまう。

「あ〜ザンネンだったね〜。でも大丈夫だよ、3匹あげるからね」

と言い、アルバイトのリョウは小学1年生くらいの男の子に、
金魚をビニール袋に入れて渡した。すぐ近くにいた父親が、
「ペコリ」とリョウの方を向いてお辞儀をした。

その時だった。すぐ後ろにいたお婆さんが、

「ポイちょうだい」

と一番前に出てきた。ポイとは、金魚をすくう、あの網のことだ。
リヨウは、ポイを「はいっ」と言って渡した。
てっきり、その後ろにいた女の子のお婆ちゃんだと思ったら、
お婆ちゃんが自分で金魚をすくい出した。

「あ〜お婆さん、すみませんが、コレお子さん限定のイベントなんですよ」

お婆さんはじっとして動かなくなり、
しゃがんだままリョウを見上げた。なんとも悲しげな目だった。

「できんの・・・?」

そう言われて、言葉に詰まった。しかし、これは子供向けの無料のイベントだ。
10人くらいの列ができており、後ろの方では付き添いのお母さんが
「何かあったのかしら・・・」という顔つきでこっちを見ている。

「ごめんね、お婆ちゃん」

そこへ店長がやって来た。

「あ、山岸のお婆ちゃん」
「・・・」
「どうしたの?リョウ君」
「いえ、このお婆さんが金魚すくいをやりたいって・・・」

リョウは困ったときに、グッドタイミングで助け舟が現れたと思った。

「ああ、お婆ちゃん、今年も来てくれたんだね、ありがとう。
 リョウ君、お婆ちゃんにもやってもらってよ」
「でも、お子さん限定の・・・」
「いいんだよ、特別、特別!」

そう言われて、山岸と呼ばれたお婆ちゃんは嬉々として水面に目を向けた。
ビニールプールの中には、色とりどりの金魚が太陽の陽を浴びてキラキラと輝いてみえた。

しかし・・・。お婆ちゃんのポイの紙は、すぐに破れてしまった。
ほとんど輪っかだけになったポイで、何度もすくおうとするお婆ちゃん。

「お婆ちゃんに、残念賞の金魚あげてよ、リョウ君」
「あ、はい」

リョウは、アルミのカップで、金魚を3匹すくうとビニール袋の中に水と一緒に流し込んだ。

「わたしは、1匹でいいんよ」
「お婆ちゃん、いいからいいから」
「ううん、1匹でいい」

せっかく好意で入れてやったのに、とリョウは憮然とした。
すると店長が、横から、

「リョウ、元気そうなヤツを1匹だけ入れてやってくれんか」

と言う。

「真っ赤なヤツにしてくれんかな」

リヨウは、仕方なく、3匹ともプールに戻し、
大きめのスイスイ泳いでいる真っ赤な金魚をすくった。
お婆ちゃんは、「ありがとう」こそ言わなかったが、
満面の笑顔で帰って行った。
 
金魚すくいのイベントが終わり、
後片付けをしていると店長がやって来た。

「リョウ、さっきはスマンかったな」
「あ、いえ・・・でもいいんですか・・・子供限定のイベントに
 大人を参加させたら、文句がでませんか」
「そんなことはいいんだよ。子供向けと決めたのは、うちの店なんだから。
 お客様に喜んでいただけたらそれでいい。
 それにね・・・あのお婆ちゃんの場合はさ、特別なんだよ」
「特別って・・・」
「片づけが終わったら、飲みに行こうか」
「え?」
「そこで教えてやるよ・・・山岸のお婆ちゃんのこと」

リョウは意味深な店長の言葉に首を傾げながら、駐車場の掃除を始めた。

《続きは来週の木曜日号で》


※この物語は、岐阜県大垣市に本社を置く(株)ユタカファーマシーが
展開するドラッグユタカで実際にあったエピソードを元に小説化したものです。


★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪ 


★新作発売!★人気日めくりカレンダーシリーズ 販売総数1万6千部以上
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 2 ]【26日】の『笑顔になれる今日の言葉(志賀内泰弘)』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【26日】の『笑顔になれる今日の言葉(志賀内泰弘)』
-------------------------

嫌なことが
あったら、これは、
『ラッキー』な事が
起こる前兆だ!
と信じよう。

-------------------------

▼日めくりカレンダー【笑顔になれる今日の言葉(木下晴弘&志賀内泰弘)】

また、こちらもおススメ。

▼人気日めくりカレンダー6点【1年間分】セット
↑これで、1年間毎日違う「今日の言葉」が楽しめます♪


   -   -   -


◆「ちょっといい話」を募集中!◆
皆さんからの「ちょっといい話」を募集しております!
メルマガや月刊紙で紹介させていただきます。ペンネームでもOK!
どんな小さなことでも、あっ!と思ったら投稿してくださいね。
お便りもお待ちしております。


   -   -   -


★☆月刊紙を発行しています!(年間購読料2,500円/12回発行)
| ココロのメルマガ小説 | 08:21 | - | - | pookmark |
ココロのメルマガ小説『わがままなお客様 後編』志賀内泰弘
 ★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪ 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 1 ]ココロのメルマガ小説『わがままなお客様 後編』志賀内泰弘
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


高志は、一刻も早くここから帰りたいと思った。
それには、とにかく怒らせないように黙って従うことだ。

「ついでにね、ちょっとこっち来て」

言われるままにトイレの中を覗く。

「電球が切れちゃってね、取り替えといて」
「あ、はい」
「それが済んだらね、絨毯を干したいの。ベランダに持って行ってよ」

こちらの都合はまったく考えていない様子。
高志はだんだん腹が立ってきた。
その時だった。

「何よ〜これ〜」
「すみません」
「すみませんじゃないわよ〜」
「はい、すみません」
「柿の種は亀田しか食べないって言ってるでしょ」
「すみません」

山口老女は、手にしていた柿の種を勢いよく高志にほうり投げた。
しかし、年老いた人のやること。
コントロールが定まらず、近くのテーブルの角に当たった。

バーン!

柿の種の袋は破け、床一面にあられとピーナツが散乱した。

「・・・すみません」

そう答えるよりも先に、山口老女は泣き出した。
それも、周りの空気がきしむような悲しい声で。

「いや〜あ、あ、あ、あ〜」

高志は、しゃがみ込んで柿の種を拾おうとした。しかし、

「帰って〜、帰って!」

と山口老女に力ずくで押されて、
マンションの廊下に突き出された。
ドアが、低い金属音を立てて閉まった。

いったい自分が何をしたというのか。
別に悪いことは何もしていない。今日という日がついていないだけなのか。
いや、いつも、怒られてばかり。「すみません」と謝る毎日。
高志は、もうどうでもよくなった気がした。
自転車を無茶苦茶に漕ぎ、店へと駈った。

高志が店の裏口から入り、着替えて帰ろうとしていると、
店長から呼ばれた。

「おい、具志堅。お前に電話だぞ」
「え?」
「今、配達に行ってもらった山口様からだ」

店長が子機のコートレスホンを差し出した。
否応なく、受け取り耳元に近づけた。

「ごめんね」
「・・・」

つい先ほどの勢いとは、まったく別人のようなか細い声だった。

「さっきの子かい」
「はい」
「私ね、いつもユタカさんにはお世話になっているんだよ。
 高梨君が来てくれるとうれしくてね。それなのに・・・なんでか
 顔を見るとワァーって怒鳴っちゃうんだ・・・うううっ」

何だか泣いている様子。
しかし、さきほどの怒りの泣き声とは明らかに違う。

「・・・・届けてくれるのに感謝しなくちゃって思うんだけと。
 今日もやっちゃった。ごめんね、ごめんね・・・ごめんね」

それだけ言うと、電話は一方的に切れた。
店長が心配そうに話し掛けた。

「大丈夫か」
「はい」
「山口様なんて?」
「・・・」
「具志堅、あのお婆ちゃんな、去年、旦那さんを亡くされてな。
 それ以来、『うつ』になってしまったんだ。
 以前は、ご夫婦でよくうちの店にもいらっしゃってたんだよ。
 それが膝が痛いからって、配達を頼まれるようになって。
 だんだん気難しくなって、それで高梨君に専任で担当してもらってたんだ」
「そうだったんですか。ただのわがままなお婆さんだと思いました」

店長は、急に真面目な顔をして言った。

「実はな、具志堅。今日はわざとお前に山口様のところへ行ってもらったんだ」
「え!?」
「高梨君と相談してな」
「・・・」
「俺たちの仕事はな、いろいろ辛い思いをしたり、
 困っている人を助けることなんだ。
 ドラッグストアっていうのは、本来、困っている人が来るところなんだからな。
 ただ、薬やテッシュを売ってるんじゃない。
 高梨君なんてな、あのお婆さんのところへ行くとな、
 2時間は帰してもらえないんだぞ、いつも」
「・・・なんでですか?」
「亡くなった旦那さんの話をずっと聞いてあげるんだそうだ。
 なんでも熱烈な恋愛結婚だったらしい」
「淋しいんですね、お婆さん」
「そういうことだな」
「・・・」
「お前さ、いつも『すみません』ばかり言ってるだろ。
 そんな謝らなくてもいいんだよ。店の仲間に気を遣ってどうする。
 心をもっと外へ向けろよ。外っていうのはお客様だ。
 もっともっとお客様に何ができるか考えてやってみろよ。
 大丈夫、みんながカバーしてくれるよ」

山口老女のところへ配達に行かされたのは、
ひょっとして悪い籤を引かされたのかもしれないとも思っていた。
ところが、違った。店長と先輩の高梨の思いやりだったのだ。

「店長、あのう・・・」
「今から、もう一度、山口様のお宅に入って来てもいいでしょうか」

高志は、床一面に飛び散った柿の種が気になって仕方がなかった。

(片づけなくちゃ)

「いいよ、行って来い!」

高志はその返事を聞き終える前に、表に飛び出していた。
帰りが遅くなることを覚悟して。

《終わり》

(注)この物語は、岐阜県大垣市に本社を置く(株)ユタカファーマシーが
展開するドラッグユタカで実際にあったエピソードを元に小説化したものです。


★第5回★「たった一言でコンテスト」の締切は10月末です!
ぜひ、投稿してください♪ 


★新作発売!★人気日めくりカレンダーシリーズ 販売総数1万6千部以上
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[ 2 ]【19日】の『笑顔になれる今日の言葉(志賀内泰弘)』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【19日】の『笑顔になれる今日の言葉(志賀内泰弘)』
-------------------------

ちょっと厳しいようだけど、

『自分に起きることは、
 すべて自分の責任』

最初から、そう思っていれば、
人生楽ちんです。

-------------------------

▼日めくりカレンダー【笑顔になれる今日の言葉(木下晴弘&志賀内泰弘)】

また、こちらもおススメ。

▼人気日めくりカレンダー6点【1年間分】セット
↑これで、1年間毎日違う「今日の言葉」が楽しめます♪


   -   -   -


◆「ちょっといい話」を募集中!◆
皆さんからの「ちょっといい話」を募集しております!
メルマガや月刊紙で紹介させていただきます。ペンネームでもOK!
どんな小さなことでも、あっ!と思ったら投稿してくださいね。
お便りもお待ちしております。


   -   -   -


★☆月刊紙を発行しています!(年間購読料2,500円/12回発行)
| ココロのメルマガ小説 | 08:05 | - | - | pookmark |
| 1/18PAGES | >>